みなし贈与

相続

みなし贈与とは何か今一つ分からないですよね。贈与は贈与する人と贈与される人の意思の合意があって成り立ちます。その合意が成り立たなくても(知っていた・知らなかった問わず)経済的な利益を得た場合はみなし贈与として贈与税がかかってしまいます。 みなし贈与と判断されるのは通常価格より著しく低い価格や無償で取引したケースが多いです。             

法上のみなし規定「みなす」とは、ある事柄Aと性質を異にする他の事柄Bを一定の法律関係について、Aと同一視して、Aについて生ずる法律効果をBについても生じさせることをいう。租税法の中では、この「みなす」との文言が多く用いられている。例えば、所得税法では、9条2項において、「次に掲げる金額は、この法律の規定の適用については、ないものとみなす」とされ、同条1項9号に規定されている生活用動産の譲渡損失について「ないものとみな」され、損益通算の問題は生じない。また、所得税法25条に「みなし配当」や、31条には「退職手当等とみなす一時金」等がある。

法人税法においても、3条に「人格のない社団等は、法人とみなして・・・」との規定があり、他には、14条に「みなし事業年度」等の規定がされている。相続税法においては、3条にみなし相続財産、4条に特別縁故者に対する相続財産の分与に対するみなし遺贈の規定があり、5条から9条の5までに「みなし贈与」の規定がある。

この「みなす」との規定は、本来Aとは異なるBを、特定の法律の上では、Aとして取り扱うとのことであるから、同一の事物でないことの反証を許さず、一定の法律関係に関する限り、絶対的に同一視することとなる。

以上赤字は国税庁より引用しました。では具体例を述べます。

みなし贈与とは

1.生命保険

№3がみなし贈与になります。

(例)として 契約者A、父 入院対象者として被保険者B、母 受取人C、子供とします。

契約者 被保険者 受取人 税金の種類
1 A A B 相続税
2 A B A 所得税
3 A B C 贈与税

№1のみ相続税の対象となり法定相続人×500万の非課税枠が使えます。№3も契約者、被保険者、受取人が異なった場合は気がつかない人がいるかもしれませんが贈与税に該当します。№2,3はAが亡くなれば解約返戻金が相続財産になります。(500万×法定相続人の非課税は使えません)

№1は法定相続人以外の人が受取人の場合は非課税枠は使用出来ません。原則として孫も含まれています。相続税も2割加算になります。

2.離婚の財産分与で著しく多くの財産を受け取った

通常は非課税。どちかが著しく大きな財産を受け取った場合はみなし贈与と疑われます。贈与税のがれではないかと疑われます。

3.著しく低い金額で行われた取引行為

非常に低い金額で行われた不動産取引行為や自社株の無償譲渡。

・自社株の場合 非上場企業の株を父から息子に無償で渡した。個人間取引
父には税金はかかりませんが、息子が贈与税(みなし贈与)がかかります。
(株式評価額-110万円) × 累進税率等=贈与税額

*株式評価額は非上場企業のため計算が複雑であり、税理士に依頼してください。

・不動産の名義変更 父から息子へ 無償もしくは著しく低い金額で渡した
無償の場合は不動産の時価が贈与額と対象。著しく低い金額の時は不動産の時価より著しく低い金額を引いた差額が贈与税の対象になります。

4.債務免除

子供の借金を親が肩代わりした。返すのはある時の出世払いではみなし贈与と判断されても仕方がないですよね。しっかりとした金銭消費貸借契約書を作成し、期間、金利等も決めておきましょう。

ただし、これには例外があります。返済者がはっきりと分かるお金が返せない時、例えば息子が無職で収入が0だとか。現在病気になってしまった場合はみなし贈与にはなりません。

5.自分の車を息子に譲った。父の名義の自宅を息子がリフォームした

父が車の免許を返納するから今まで乗っていた高級車を息子に譲った。親子が同居しているので名義人は父ですが、老朽化が進んで息子がリフォーム工事をした。どちらも当たり前のことをしているようですが、みなし贈与に該当します。

車を譲ったことは上記の3と同様、その時点での車の時価が贈与額の対象です。又、リフォームについては登記名義人が父なので息子から父への贈与が成立します。

みなし贈与に該当しないケース

1.110万以下の贈与

これはみなさんご存知のように110万以下の贈与は申告不要です。1年毎に1人あたり110万です。専門家に相談して上手く活用しましょう。近年、民法が改正され暦年贈与のルールが3年から7年に変更されました。相続時精算課税制度も改正され110万以下の贈与は加算されないようになりました。併せて検討することが良いと思われます

2.扶養義務者からの生活費や教育費

相続税法上でも贈与に該当しません。生活費には日常生活を送る上で最低限度の医療、養育、食費、教育費も含まれていると考えられます。扶養義務者からみて3親等内(甥・姪まで)は扶養する義務があります。

まとめ

みなし贈与と判断するのは税務署が判断することが大きいでしょう。みなし贈与と判断することが難しいケースもあるでしょう。税理士とよく相談して対策をうってください。