遺言とは普通方式と特別方式と2種類あります。特別方式と普通方式の秘密証書遺言はほとんど使われていません。今回は自筆証書遺言と公正証書遺言の2つに絞って説明します。
自筆証書遺言は被相続人が書くもの。公正証書遺言は公証役場で公証人と証人2人がいて被相続人が口頭で言ったことを記録し、まとめたものです。2つともメリットデメリットがあります。比較表を作成しましたのでご覧ください。
遺言の基本
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遺言の原則 満15歳以上であること。意思能力があること。認知症である場合は無 効になる可能性が高い
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撤回方法 最新分が有効とされています。(例)日付が○○月吉日と書いてあれば無効になります。日付が確定出来ないため
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遺言の種類 普通方式が3種類、特別方式が4種類。一般的に自筆証書遺言と公正証書遺言がよく使われる
普通方式
1.自筆証書遺言 法務局で保管出来るようになりました。下記分をクリックしてください
法務局参照
↓ ↓ ↓
2.公正証書遺言 作成手数料 以下日本公証人連合会より引用しました
公正証書遺言の作成費用は、公証人手数料令という政令で法定されています。ここに、その概要を説明しますと、次のとおりです。ただし、相談は、全て無料です。
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手数料算出の基準 まず、遺言の目的である財産の価額に対応する形で、次のとおり、その手数料が定められています。
(公証人手数料令第9条別表)
目的の価額 手数料 100万円以下 5000円 100万円を超え200万円以下 7000円 200万円を超え500万円以下 11000円 500万円を超え1000万円以下 17000円 1000万円を超え3000万円以下 23000円 3000万円を超え5000万円以下 29000円 5000万円を超え1億円以下 43000円 1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 -
具体的な手数料算出の留意点 上記の基準を前提に、具体的に手数料を算出するには、次の点に留意が必要です。
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財産の相続または遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、当該遺言公正証書全体の手数料を算出します。
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全体の財産が1億円以下のときは、上記(1)によって算出された手数料額に、1万1000 円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。
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さらに、遺言公正証書は、通常、原本、正本および謄本を各1部作成し、原本は、法律に基づき公証役場で保管し、正本および謄本は、遺言者に交付されるので、その手数料が必要になります。 すなわち、原本については、その枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きの公正証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1 枚ごとに250 円の手数料が加算されます。また、正本および謄本の交付については、枚数1枚につき250 円の割合の手数料が必要となります。
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遺言公正証書の作成が嘱託人の病床で行われたときは、上記(1) によって算出された手数料額に、50 %加算されることがあるほか、遺言者が、病気または高齢等のために体力が弱り、公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、ご自宅、老人ホーム、介護施設等に赴いて、遺言公正証書を作成する場合には、公証人の日当と、現地までの交通費が掛かります。
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遺言公正証書の作成費用の概要は、以上でほぼご説明できたと思いますが、具体的に手数料の算定をする際には、それ以外の点が問題となる場合もあります。それらの問題については、それぞれの公証役場にお尋ねください。
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比較表
遺言書名
自筆証書遺言
公正証書遺言
作成方法
遺言の内容、氏名、日付、署名を自筆にし、押印は実印にし印鑑証明書を添付するのが望ましいでしょう。付言事項も記入して財産目録はパソコンで作成可。ページごとに自筆で署名、押印は必要です
公証役場で公証人及び証人2人と被相続人が口頭で言ったことをまとめたもの。法定相続人の中に未成年がいる場合は特別代理人が必要です。被相続人が病気などで公証役場に来れない場合は出張可能。
検認
必要
必要無し
改ざん
恐れあり
無し
盗難・紛失
有り
無し
遺言の有効性
無効になる場合あり
有効(例外として誤記があり、やり直しする可能性あり)
まとめ
自筆証書遺言は自分で作成すれば無料できます。法務局に保管制度を使えば手数料は3900円かかります。専門家に依頼すると少なくとも何万円、何十万円もするでしょう。公正証書遺言は財産額が大きいほど料金がかかります。
基礎控除内(3000万+法定相続人×600万)でも揉めるケースもあり、財産の大小に関わらず、正確性を求めるとするなら公正証書遺言を作成するのが良いでしょう。
自筆証書遺言も料金は非常に安く済みますが、遺言内部が大幅に変わった場合(例として農地だったところを賃貸アパートに変えた等)した場合、遺言をそのままにしておくと諸事情(相続人同士でもめる)を検討して専門家に仲介してもらって、遺産分割協議書の作成が必要になったりします。
こうなるとどちらが安いのか分からなくなってしまいますよね。遺言書を書くなら書く、書かない書かないと被相続人が相続人とエンディングノート等を使い、よく納得できるまで話し合って欲しいものです。